鶴見俊輔、晩年の覚書集「もうろく帖」には続きがありました。「老齢の自分が自分に贈る暗号帖」と鶴見氏自身が呼んだ「もうろく帖」なるノートは計23冊。そのうち2冊目以降を抜粋したものがこちらの「後篇」となります。70歳を超えてもうろくを意識しだした著者の、長い旅の道のり。終わりを意識しながら綴ったその不思議な明るさと、短い言葉に託された深みと奥行きとが白いノートの上さまざまに調和し、音楽を奏でるかのようなハーモニーを読者は感じるかもしれません。氏がこの世に遺した言葉と言葉の連なりとつながりを感じつつ、読み手によって、また一語一語が受け継がれてゆくでしょう。「歩いても 歩いても まだ先がある」。
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