編集グループSUREの最新刊は、哲学者・鶴見俊輔氏によるこちらの自選文集。今年2012年に90歳を迎える著者が最後の自選集のつもりで編んだとのことです。主に'00年から'11年までに執筆された文章で構成され、「親指のものさしで世界をはかる」「退行から始める」「学校の外」「倒叙 思想の科学私史」の４章からなり、それぞれに短いながらも透徹した思索が綴られています。たとえば表題となっている項では、3・11を契機とし、日本のた どってきた思想と思考の道のりを振り返り今後への警鐘とする静かな気迫が満ちています。「私たちは時間を薄切りにしてとらえる習慣になれてしまった」と語 る言葉は、つながる歴史、連鎖する事象、それらを大局的にとらえる見方の重要さを教えてくれます。大きな出来事のあとにどう生きどう考えどう行動するか、 この小さな書が新たに思索を深めるきっかけを与えてくれるでしょう。

商品情報

著者：鶴見俊輔 / 出版社：編集グループSURE / 135mm × 195mm / 128P / ハードカバー