編集者、若菜晃子さんが「街と山のあいだ」をコンセプトに展開する小冊子“mürren”(ミューレン)。創刊13年、25号を数える2019年に『MURREN BOOKS』シリーズが創刊しました。その第1巻は、イラストレーター安西水丸による低山歩きのイラストエッセイ集。90年代から2000年代、登山雑誌など様々な媒体に味わい深いイラストとともに寄せたエッセイ群をまとめた一冊です。
登山少年の頃、山頂で頬張るおにぎり、低山登山の楽しみ、山道で偶然出会った人たちの思い出…。日本各地を訪ね歩き出会った山や城跡の魅力を、飄々と訥々と、おだやかに軽やかに綴っています。屋久島や熊野古道などにくわえ、東山の将軍塚や大文字山、鞍馬山など京都の山々のことも。イラストレーターの生前、ともに山登りを楽しんだ若菜さんによるインタビュー記事の再録や書き下ろしとなる解説も収録。気軽なペーパーバックと洒脱なブックデザインがいっそうの愛着を感じさせてくれることでしょう。山の旅のおともに。(涌上)