京都の写真家・甲斐扶佐義さんが、フランス・パリでの個展を機にパリに上陸。
氏が早くから親しんでいたというブレッソン、ドアノー、ブラッサイなどフランスを代表する写真家、その気配に感慨しつつ闊歩し、時には友人と共に巡ったというパリ路上観察なる本書。ポルト・ドレ、アリーグルの蚤の市、シュマン・ヴェールのカフェ、カルチエ・ラタン、公園にビストロ、マルシェ、地下鉄etc…。1ヶ月にわたる滞在のなか精力的に出かけ、歩きながら目にとまる風景にレンズを向けた写真群は、誂や演出などなくとも、パリはパリ。文化的素地の濃い街並みや多様な人々の醸し出す風景を、知的で自然体なまなざしで収めた1冊。フランス現代思想・龍谷大学の名誉教授である杉村昌昭氏のあとがきに、「甲斐扶佐義」という写真家について”生の闘争（喜びや悲しみ）に与するパルチザン写真家”との評有り。交友とユーモア、その作品理解を呼ぶ写真家の魅力詰まった作品集です。（原口）