“『つかの間の道』のセリフたちは全て日常生活の言葉から作られています。部屋の大切な植物の隣に置いてあって朝起きたと時、電車の中で窓の景色を見ながら、喫茶店でコーヒーを飲みながら、この本のページと、手にとった人との日常が繋がっていくような瞬間があれば、それは上演の状態で、あなたは演劇をしています。”―あとがき「演劇的営みたちへ」
演劇の脚本を収録した、戯曲集。
著者は、演劇団体「ムニ」を主宰し、劇作・演出を行う、宮崎玲奈さん。本来、誰かに演じられ、声として発せられるための言葉。その場に溶けて、瞬間に揮発してしまう言葉を、本として残してみる。「演劇的営み」を探索する、実験的に。
発行は、出版社「さりげなく」。古本実加さんの、装丁、造本デザインにも注目ください。
会話を繰り返しすすむ日常(物語)には始まりも終わりもなく、戯曲は、どこからも切り取ることができる。この本は、「天のり」製本で綴じてあり、実際に本もどの場面からでも剥がすことができるようになっています。そして、裏表紙だけが長く設計されており、そこに書かれた登場人物表を常に確認しながら、物語に没頭することができます。限定400部発行。ぜひお早めに。