すべて切り絵で描かれた、116匹の動物たち。
穏やかに、勇ましいポーズは、太極拳からインスピレーションを受けています。著者は、実際に太極拳教室にも通っているという鈴村温さん。太極拳の動きのゆるやかさと動物たちの表情が相まって、ゆるくも力が漲ってくるかのような作品たちです。カモノハシやツチブタ、ウーパールーパーなど、動物のチョイスも抜群。
また、この本の特徴は何と言っても、本のなかのポーズを真似して遊ぶプレイブックというところ。『Same pose』というタイトルの通り、本を持ち、動物たちのポーズを一緒にとってみる。それぞれのページで絵が反転している理由は左利きも右利きも同じように楽しめるようにと工夫がされています。時折動物が本を持っているのは、この本の楽しみ方を表しているそうです。発行は、若い編集者が立ち上げた出版社「さりげなく」。今回も独自の編集眼が光る一冊です。
→出版社「さりげなく」とは。
20代の若い編集者が新たに立ち上げた出版社。出版社名とは思えない気の抜けた名前の通り、普段の編集業を書籍以外に主戦場を置く彼女の自由な発想からつくられる本には要注目。携わるデザイナーやメンバーも同世代の若いチームが集まります。