しょうもない連中のことを潮抜きの浅蜊に話す 飼いそうになる誰よりもやさしいひとになりたくて駅のホームで敬礼した日1万年生きたミミズがいたらしい あれ今西暦何年だっけ
DON'T DISTURB. / 起こさないでください。京都にもルーツをもつ若き作家・仲西森奈、初の短歌集。誰もが身に覚えのある愛。どこに向けるわけにもいかない苛立ち。万事どうにもならぬ、ましてや言葉にできそうにもない、あらゆる事柄を短歌にしたためる。思わず吹き出してしまう共感を覚える作品から、心臓に悪い鋭いものまで、短歌という表現を自由に押し拡げていきます。新興宗教に心酔した母親との微妙な関係を書いた一節など、短歌以外にも、短篇小説やエッセイを間に挟んだ散文集。まだ世に見出されていない非凡な才能を存分に堪能いただけます。
短歌集であるにも関わらず索引が付されていたり、こだわられた造本、デザイン、そして編集の一切に遊び心を感じさせる一冊です。作家と同年代の若い編集者が個人で立ち上げた出版社「さりげなく」から発行される第一作。今後大きく羽ばたいていくであろう作家、出版社に期待を込めつつ。
→出版社「さりげなく」とは?
20代の若い女性編集者が新たに立ち上げた出版社。出版社名とは思えない気の抜けた名前の通り、普段の編集業を書籍以外に主戦場を置く彼女の自由な発想からつくられる本。今後の出版にも大いに期待できます。携わるデザイナーやメンバーも同世代の若いチームが集まった、今作が刊行第一作となります。