「私は好き 午後 セバスチャン もめんのヴォイルで作ったドレス/私は嫌い ポテト・フライ 短い髪の毛 サンジェルマンのドラッグ・ストア…」
安井かずみによる詩と散文で構成された、新書館フォアレディースシリーズ初期の一冊。わかるようなわからないような詩、どこか気だるいエッセイ、気ままなしぐさ…。多くとは言わない、しかし70年代の特定の少女たちの心に強く届いたであろうこの空気感の素晴らしさ。縦書きが突然横になったりと斬新なエディトリアルデザインも面白く、なによりも装丁の宇野亜喜良の醸し出すアンニュイな美しさがやはり魅力です。扉をはじめ小口や本文にもところどころシミが見られるなど経年相応のイタミはありますが、綴じもしっかりしており50年を経過した古書としても標準的な状態です。以上をご了承の上お求めくださいませ。