1935年、ロンドン発の出版社ペンギンブックス。本書はその草創期、ドイツの出版社「インゼルブックス」をモデルに刊行された「キングペンギンブックス」シリーズの中の1冊。洗練されたデザインと専門的なテキスト、テーマや装丁の上質な造りによるこちらのシリーズは1940年〜1960頃までの間に76タイトルまで出版されました。
こちらはそのキングペンギンブックスシリーズ NO.13「食べられるきのこ」
きのこは実に3000年以上も食べられてきた食材で、これについてはエジプトの古代建造物にも記載があるようです。
古来より食されてきた食物ですのでその毒性などの情報は豊富ではありますが、食用であるか、有毒かの認識は地域や国によっても違い、隣国であっても可食の範囲には違いがあったそうです。それは、森林の状態によりきのこの味や形態、毒性が異なる側面があり、地域によるきのこの歴史が違うためなのだとか。現在では間違った方法とされる銀のスプーンを黒くするか否かという判別方法も、そのむかしイギリスではきのこの季節にはよく注意喚起されていたとのこと。こうしたきのこに関するテキストは菌類の生態や繁殖、その他歴史にも触れ、あらゆる方向から食用きのこをめぐる1冊。大ぶりで大胆な図案のカラープレートに登場するきのこについてはその特徴の他、可食部についての詳細なども記載され、一部簡単なレシピが記載されている頁も。古くから食用されてきたきのこをめぐる食文化は興味深いものですね。装丁のチャーミングな本ですので本棚のコレクションとしてもおすすめです。
※情報は刊行当時のものです。
大変古いものでありますので、それなりにヤケ・傷等のダメージがあります。※保護の為、取り外し可能な透明のカバーを付け管理しております。
(原口)