19世紀、病気がちな愛娘へ贈った一編のとある詩。
それはクリスマスの、まえのよるのお話でした。家の中はしんとしずまっていて、ねずみさえもでてこなかった夜です。暖炉の上にはくつしたがならんで吊るされています。
パパやママも、そろそろ眠ろうか。そんな時…そとから"シャンシャン"という音が…。「パパの めに とびこんで きたものは なんだった とおもう?」興奮冷めやらぬ語り口、リズミカルなオノマトペ、サンタさんの台詞も迫力満点!優しい仕草に、とっておきの贈り物。
また、細長い判型の魅せる、トナカイかける夜空に、サンタさんがするりと潜る煙突の中はわくわくドキドキ。色鮮やかな色彩も楽しい絵本です。
詩は、アメリカの神学者クレメント・C・ムーアが娘を笑顔にするために作ったもの。サンタクロースといえば今や世界中で共通となった、赤い服に白いひげの、朗らかでふくふくとしたサンタクロースのイメージは、実はこの詩によって世界中に知られるようになりました。
絵を担当したのはスイス出身のアメリカ人作家、ロジャー・デュボアザンさん。親しみのこもる優しくのびやかな線が特徴のモダンで洒脱な絵。数多くの絵本を通し、長く愛される作家です。
(原口)