商品名【サイン本】某月某日 シネマのある日常
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「やはり映画はどこか小さな映画館で上映されているのを発見し、なにか悪事でもはたらくように、とは大袈裟だが、こっそりひとりでみに行くというのが私の流儀。」
作家 山田稔が90年代のある数年間に観た映画の記録。大作よりも小品を、評判よりも滋味を。人生を愛し小さなドラマを愛するその姿勢は映画を観るときにもブレることはなく。「日の名残」「ケス」「イルポスティーノ」…当時日本公開された佳作たちが名を連ねます。そして、本書ではその数々の映画体験とからめて自身の身の周りの出来事を交互に綴ってゆく語り口が独特の奥行きを生んで魅力的。仕事、家族、友人、旅。映画とともに、人生もまた続く。単なる映画鑑賞記ではなく、ひとりの作家の生活、その文の道も示してくれる多層的な構成となって読み応えがあります。本書は92年にみすず書房より刊行された『シネマのある風景』のいわば続編と呼べるものですが、より自由に書かれた内容は、シニカルなユーモア、寂しさや潔さ、様々な味わいがひとつとなって深い余韻を残します。映画は映画館で観る。年間50本以上愛するシネマのために出かけてゆく、その映画館主義の真骨頂もぜひお楽しみください。
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