イタリアミラノの絵本作家、イエラ・マリ。デザイナーとしても活躍した彼女が遺した文字の無い絵本たちは、グラフィックアートとしての芸術性も高く、同時に科学的な知識絵本としても世界中で読み継がれています。絵本を共作した夫のエンゾ・マリはブルーノ・ムナーリと活動をともにしたイタリアを代表するプロダクトデザイナーです。
「にわとりとたまご」はヒヨコの誕生と生長を描いた絵本です。産み、あたため、孵る。生命の誕生の瞬間を卵の外側と内側から観察し、文字や解説を使わず見事に表現されています。にわとりの体全体ではなく足元のみが描かれており、そのトリミングのセンスからもエンゾ、イエラのデザイナーとしての非凡さを垣間見ることができる一冊です。