少女がポケットに持っていた十円玉。そこから物語は転がり出し、10円が300円に500円に3000円に、と昔話のようにどんどん交換され大きくなって、そのたびに少女は不思議な出会いを繰り返します…。谷川俊太郎が70年代にラジオドラマとして書き下ろした脚本を元に書籍化された本書。内容もイラストレーションも70年代と80年代の真ん中的な雰囲気で実に魅力的。透明感と濃厚な空気が同居した、エルム新社のメルヘンの国シリーズの一冊です。ダストジャケット裏表紙等に黒ずみが若干みられ、全体的に経年によるくたびれはみられますが、おおむね古書として標準的な状態です。