ことば遊びの達人・土屋耕一による、回文だけでできた伝説的な珍書。短い散文、句、長い散文と三部仕立てになっていて、どれも口ずさむに心地よい名作がたっぷり収録されています。刊行にはいわくがあり、1972年私家版のような形で約千部刷られたのが、まったく同体裁で再び出された本書。再版というには初版の資格が弱く、初版の処女性にも乏しいということで版の明記はありません。趣味の良い装丁は和田誠。鉛活字の美しさにも見とれていたい一冊です。目立った難なく古書として良好な状態。
著者:土屋耕一 / 出版社:誠文堂新光社 / 150mm×145mm / 160p / ハードカバー 函入り/ 1980年 / G