ハヤカワ書房で刊行されたブラックユーモア選集のうちの一冊である本書は、一癖も二癖もある海外の風刺画家たちの１コマ漫画を作家別に集成したもので、トミー・ウンゲラー、ジャン＝ジャック・サンペ、ローラン・トポールなど８名他が取り上げられています。シンプルな画の構成だけで、一瞬で何かを悟らせる1コマ漫画という表現はいまではすっかり触れることが少なくなりましたが、それは情報過多の時代に相容れぬ余裕があるゆえこそ、かも知れません。1コマの一瞬のうちにふとした情感を楽しむ余裕が私たちにに失われてきているのではないでしょうか。冒頭には星新一によるブラックユーモアに関するエッセイが掲載されており、こちらは毒の少ないとぼけた味わい。ちなみに編者の水野良太郎自身も画家であり、片岡義男などが参加していたパロディ集団の一員です。本体経年によるヤケがありますが、その他はとくに目立つダメージもなく、いい状態です。
編者：水野良太郎 / 出版社：早川書房 / 158mm × 202mm / 157P / ハードカバー / 1971年発行初版 / G
