絵本作家・片山健の独特の世界が開く油彩画集。70年代後半から2000年代前半に至るまでの約20数年を中心に、60点近くが紹介されています。夏の日、魚とり、秋のはじめの枯れたひまわり。そこに描かれているのは半裸であったりコートをまとっていたり植物にからみついていたりする様々な姿の子どもたち。絵本作品でおなじみの力強い線で躍動し、ときに沈思するその顔をみていると、不思議な幸福感に包まれます。濃密なタッチの中に生きる誰にも真似できないイノセントさ。見えないものを見るかのような不思議な幻想性と童心。片山健にしか生み出せない子どもたち。その楽園がここにあります。編集のトムズボックス主宰・土井章史さんによる片山さんの油絵に対する想いと優しさが込められた文章も素晴らしく、ファンにとっては嬉しい響きです。(能邨)