「おふくろの味」と対になる言葉はあるのだろうかと考えてみる。「父の背中」かな。
文筆家・木村衣有子さんの私家版冊子が届きました。自身の日常の料理に関するエッセイに始まり、タイトルにもなっている「汁物」への考察を料理書を題材に行い、そして近年仕事としてきた料理書の書評を本書でも展開した内容は、どれも短いながらも読み応えあるものばかり。特に『今日も料理』(山尾美香)から見る家庭料理=愛情論を紐解いた項は性別や年齢を問わずぜひ読んでほしい。これは、著者自身の料理へのスタンスを知る一冊でもあると同時に、料理って自由でいいんだ、とあらためて感じられる小さな思考と実践の書。味わい深いイラストとともに充実した文章をお楽しみください。また、冒頭の木村家の料理風景を記したページには「うちの台所用品」と題して一行コラムが載っているのもささやかで嬉しいおまけ。今日は何作ろうかな、と思っている時、ふと手を止め頭を休めて読んでみたい。
商品情報 |
著者 | 木村衣有子 |
装画 | 天間苑佳 |
発行 | 木村半次郎商店 |
サイズ | 105mm x 148mm |
その他 | 64P、ソフトカバー |