私の兄が出席した結婚式では、新郎新婦がゲストに
「Win For Life」(イタリアの宝くじ)のチケットだけを贈るよう求めていました。
彼らは何週間もかけてたくさんの宝くじを集め、
そしてその山の中で、当選券を2枚見けたのです。
彼らは生涯、毎月2000ユーロを受け取ることになります…
(本文より)
ときに、200kmも離れた場所から私の店にやって来る人もいます。
「ここが幸運を呼ぶお店ですか?」と尋ねられます。
彼らはまるで、巨大なお守りに接するかのように、私に触れようとすることもあります。
800通以上にも及ぶ手紙を受け取ることもあります。膨大な要望に、いちいち応えることはできません…
(本文より)
数字を選ぶというシンプルな工程だけで、誰しもが夢や富を掴み取るチャンスを与える「宝くじ」。スリルと危険が隣り合っていても奇跡を求め、お金を払い、その権利を手にする。本書に収録されているのは、宝くじに当たったことで、良くも悪くも人生が変わった人々の実話。著者であるCecile Hupin(セシル・ユパン)とKatherine Longly(キャサリン・ロンリー)が目にしたのは、華やかさとは程遠い激情と、刺々しい人々の願望と強い信念でした。宝くじに対する著者の主観を残しつつ、実際の証言を書き記すことで夢と現実を対峙させた構図に。幸運と不幸の合間にある希薄な関係性、私たちを取り巻く社会、私たちのお金に対する態度や欲望そのものに問いを投げかける一冊。(韓)