演出家・飴屋法水さんの小説が入荷いたしました。
日々思い起こされる記憶の断片を、とつとつと繋ぎ合わせたような文章の中、様々な生物が登場してゆきます。読み進めるごとに、そのいつかの出会いや出来事が重要なピースであったかのように、心に響いてゆき、また文章世界を被服のように覆い、時に川の流れで出会う浮遊物や車窓から眺め出会う景色のように志賀理江子さんの写真が使用され、どこかいつもの日常の只中にある蜃気楼に案内されるような1冊。ジャンルを超えた表現世界に身を置く飴屋さんだからこそなのでしょう、文中の文字列や造本も大変凝っており、本を”もの”と捉えた自由なつくりも興味深い作品です。