日本では戦争を体験した世代が数を減らし、離れた土地では戦争が長期化するいま。
戦争を体験していない私たちには何ができるだろう。
94歳の祖母に話を聞くと、戦争が終わって最も嬉しかったのは
「部屋の電灯が明るいこと」だったと教えてくれた。
そしてこう思った。戦争とは日常を奪うものであり、
なにげない日常こそが私たちを存在させてくれているのではないか、と。
(「はじめに」より)
94歳の祖母から伺う太平洋戦争をめぐる記憶。確約できない明日を待ちながら、ちいさな灯りを頼りつづけた日々。その声とことばを聞いた同世代27名が、それぞれ綴った「8月15日」の記録。椋本湧也さん手掛ける『26歳計画』『それでも変わらないもの』につづく、「戦争の記憶と継承」をテーマとした日記集が届きました。誰かにとっては忘れられない日であり、いつも通りの普通の日であり、大切な誕生日でもある。日常へのたしかな慈しみを手元に手繰り寄せる、極めて個人的で飾らない声や記憶が寄り合った一冊。(韓)
椋本さんが祖母に行ったインタビュー、寄稿者による日記の朗読をおさめた「音声版」もぜひ。
■音声版はこちらから:https://podcasters.spotify.com/pod/show/utau0815