カナダ人アーティスト、ハドソン・ヘイデンの写真集。本書のシリーズは、作者がヨーロッパに移住した 2016 年に始まりました。本作でヘイデンは写真と記号論の交差、写真を並べることによって推測される物語の歪み、そして、日常の物体が写真に撮られるだけでアイコンに変化することなど、現代のイメージ文化にとってはおなじみのテーマに触れています。
タイトル”Notwithstanding”(にもかかわらず)は、彼の写真の中の不確かで表現しにくいものについても語っています。犬、ボール、湖上のボート、ボウルに入ったオレンジなど、単純なものを描写することが多い写真は、明確な物体そのものであるにもかかわらず、不思議なことに、それを離れた他者のように感じられることがあります。静けさの中で保たれる秩序。独立した画像たちはいずれもヘイデンの強い美的感覚と構成的感性を示しています。初期のポストモダンのカラー写真が持つ ルイジ・ギッリ的なクールさから、広告や商業的なイメージ作りにおける漂白されたような言葉まで、彼は写真の多様なジャンルを言葉少なに、ウィットを効かせて引用するのです。