作家、アーティスト、研究者、写真家などが集うグローバルなグループを主軸とし、都市というひとつのメディアを通し視える集合的な変化と融合を記録する東京発のインディペンデントマガジン『TOO MUCH Magazine』。記念すべき第10号は、「Pluralistic Spaces / Schemata Architects(多元的空間 / スキーマ建築計画)」特集。建築家・長坂常率いるスキーマ建築計画のワークスタイルとその活動に迫ります。
各地で急速に進んでいる都市化。優れた建築家を抱えより独創的で斬新な都市開発を目指し、しのぎを削っているところも。はたしてその輝かしくも前衛的なまちは、気候変動やパンデミック、人口減などの問題を背負い生きる私たちにとって快適で居心地の良いものとなるのでしょうか。そんな華やかな枠組みから脱するかのように、ゴールを定めず謙虚に、利用者に活用法を委ねる「多人称的空間」を築くスキーマ。緻密な足し算で作り上げるのではなく、敢えて不完全さを光らせることで相乗作用をはたらかせ、多方面から人の手や眼差しを向けさせる。
彼らが既存の空間をどのように見つめ直し、手を加え、仕事をしているのか。また、その仕事様式が我々にもたらす影響について探求します。長坂常の書き下ろしテキストをはじめ、中国、韓国、アメリカ、アイルランドなどで展開される最新プロジェクトの紹介、OMA・重松象平やTODAY'S SPECIAL、DEAN&DELUCA等ブランドを手掛ける株式会社ウェルカム・横川正紀との対談、建築博物館やM+香港キュレーターらによる寄稿などを収録。資本主義のサイクルに沿い急激にその姿を変えゆくものではなく、個人個人の体験と声の重なりによって成り立つゆたかな都市のしくみに迫ります。新たな空間体験ををぜひお手元で。
(韓)