〈カフカの遺品のうち、まさに素描のほとんどが含まれている部分が、何十年にもわたってまったく手の届かない状態に置かれていた。そのひと束の紙が、カフカの創作の最後の偉大な未知数であったと言っても、決して過言ではない。〉　＿「前書き」より

2019年、カフカの没後100年を目前に、これまでほとんど知られていなかった素描群が公表され、世界的な話題となりました。本書は160点余りの素描すべてを実物大、オールカラーで収録。加えて、編者でユダヤ人文学研究者であるアンドレアス・キルヒャーによる詳細な解説と哲学者ジュディス・バトラーによる独創的な論考も入っており、画家としてのカフカの新たな一面を照らし出しています。カフカにとって書くことと描くことがいかに密接に関わっていたかを知ることのできる驚くべき一冊。布クロス装、箔押しの美しい造本も本書の大きな魅力のひとつです。