写真家・ホンマタカシの写真集。こちらは2023年10月6日から2024年1月21日まで東京都写真美術館で開催される、10年ぶりとなる個展「即興 ホンマタカシ」にあわせ刊行されたもの。本作では、「富士山」という日本を代表するシンボリックな対象にフォーカスをあてたもの。ピンホールカメラとデジタルテクノロジーいずれも採用することにより輪郭のぼやけた、幻想にも思える不確かな山のイメージ群を制作。葛飾北斎手掛ける有名な木版画シリーズ「富嶽三十六景」をタイトルとして掲げ、その手法をトレースし、複製したコラージュを作品に徹底的に落とし込む。版画手法を用いた複製作品である北斎の作品と同じ類似性を持つというおもしろさも見どころ。秩序を失い雑然としたビル群を背景にそびえ立つ、その多彩かつ壮観な姿に新鮮ささえも覚えます。（韓）