"ぼくは二十歳だった。
それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい。"
ポール・ニザンは青春という時間のことをそのように形容した。
人生でいちばん残酷で美しい時間を、あなたは誰と、どこで、何をしていましたか。
すべての恋人たちと、恋人のいる時間に捧ぐ、甘くてほろ苦いレコードガイド。
日の暮れた部屋の中で。土砂降りの雨の日のドライブ。プランのない日の朝。ふたりで暮らしつづけて半年、瑞々しかったあの頃が恋しくなった夜に。指先で辿り、選び、しんとした部屋で音楽を流す。余韻と感傷に浸りたくて、或いは胸を踊らせ、自身を奮い起こすために。その追憶が滲む円盤を、何度、どのような場所で聴き、これからも聴いていくのだろうか。
ひと組の男女が出会い、生活を共に重ね、別れを告げるまで。ひとつの短編小説のようなストーリーを軸に、さまざまなシチュエーションとシーンに寄り添うレコード160枚を紹介。実在していたたくさんのレコードガイドたよりに音楽を生活の背景に織り交ぜていたかつての恋人たち、今を生きる若き恋人たち、率直に音楽を愛するすべてのひとに捧ぐ、至高の一冊です。盛岡の書店・BOOKNERDによる書籍シリーズ〈BOOKNERD PAPERBACK LIBRARY〉第三弾。(韓)
【執筆者】
モトムラケンジ:京都のレコード店「レコードショップ ジジ」店主。
富永珠梨:北海道在住。2002年より選曲・DJ 活動開始。
早坂大輔:盛岡の書店「BOOKNERD」店主。
【寄稿者】
松永良平(音楽ライター)、青木隼人(音楽家)、千葉幸平(チバハウス店主)、河村実月(文藝誌『園』〈居間〉主宰)、玉山貴士(音楽愛好家)、田口杏奈(グラフィックデザイナー)