「私には庭や野原からの明白なヒントが必要だ」-ウィリアム・モリス
時を超え、愛され続ける19世紀英国デザインの代表格であり、社会運動家としてデザインによる生活環境の変革を促したアーツアンドクラフト運動の父、ウィリアム・モリス。本書は生前より緊密なつながりのある「英国・ヴィクトリア&アルバート博物館」が監修し、同館の膨大なコレクションより、壁紙や刺繍、内装用のファブリック等の、特にフローラルパターンを中心に語ったもの。デザインのモチーフとなった「ヨウラクユリ」、「チューリップ」、「スイカズラ」、「フリチラリア」など、モリスのデザインによく登場する植物についてや、発想の元になったエピソード、プリント手法などについても文章でまとめられています。
また晩年の仕事である、私家版印刷工房「ケルムスコット・プレス」での、カリグラフィー、装飾、書体についての仕事も必見。
豊かな自然美を追求したデザイン、モリスの歴史と美学詰まった1冊です。(原口)
ローワン・ベイン(Rowan Bain)
ウィリアム・モリス・ギャラリーの上級キュレーター。以前はヴィクトリア&アルバート博物館のアシスタント・キュレーターでもり、『May Morris: Arts & CraftsDesigner』の共著者で、モリスとそのコレクションに関して多くの記事を執筆。その他の著書に『Be Magnificent: Walthamstow School of Art1957 _ 1967』など。V&Aの特別展「Shoes:Pleasure & Pain」にも協力。