「揺れ動きながら浮かび上がり続ける暮らしの生身。なぜだろう。わたしはそんな風景が愛おしい。」(帯文より)
引っ越しの日。それまでの来し方を懐かしみ、新居へ思いを馳せる。いや、あるいはそんな間もなくひたすら作業に没頭して時間に追われるのかもしれない。そんな、それぞれの住み替えの風景を『恥ずかしい料理』でもおなじみの写真家・平野愛さんが撮り下ろしました。被写体となったの7組の「引っ越し当日=moving days」から滲み出る生活の光のようなもの。それらをおさめることで見えてくる日常の隙間にあるかもしれないものが、不思議と心をとらえます。誰しも経験する、引っ越しという究極の「生活」そのものが主役の、ユニークで人の暮らしへの愛にあふれた写真集。切なさと落ち着きを伴ったHomecomingsの福原優樹さんによる寄稿も素敵です。引っ越した夜のあの独特のざわめきと安堵が混じった空気を思いながら。京都・誠光社より刊行。