どんなに偉い人でも、有名な人でも、
ひとりでは生きていけないし、いつかはかならず死を迎える。
一人ひとりは、みんなちっぽけな存在だ。
その人間の小ささや弱さから目を背けるために、
大きくて強いものにすがろうとしてきたのかもしれない。
(「はじめに」より)
いまこの瞬間でも、さまざまな土地と場所で、無数の小さき者たちの営みによって世界は流動しつづけている。
エチオピアの農村を研究し、現地でのフィールドワークを続ける人類学者・松村圭一郎さん。本書は、松村さんが生まれ育った土地・熊本で普通の人々が経験し、築いてきた歴史を掘り下げていくところよりはじまります。
自分自身がどのような土地で生を受けたのか。進化の渦中で生まれるひずみを辿り、今の風土がつづいているのか。はたらき、まじわり、のりこえ、たりないものをみつめ、こえをきく、うつろい、いのる…。歴史に名を残すことのなかったひと、虐げられながらもたしかに明るく生きていたひと、水俣病患者として暮らし、その生涯を終えたひと。わたしが目をそむけたり、目を向けることさえできなかった、さまざまな「小さき者」たち。
故郷の熊本にいた人々とエチオピアの一角で出会った人々の面影を重ねながら、民衆の視線から現代の素性と構造について考えます。今を生きる人々に捧ぐ生活誌。(韓)
商品情報 |
著者 | 松村圭一郎 |
出版 | ミシマ社 |
サイズ | 135mm × 177mm |
その他 | 205P / ソフトカバー |