「この子はまだ知らない。おとなになった自分が、革命をおこすことを。」
-本文より
19世紀英国で「進化論」を発表し、人類史に様々な成果を残す博物学者ダーウィン。その生涯を生誕から最期まで、ピーター・シスが描きました。
本書は一般的な絵本よりも少し大きめの判型。これにより、ピーター・シスの持ち味であるごく細かい点描も精巧に印刷され、隅から隅まで美しい絵が続く、大変に重層的な魅力詰まった1冊に。
「種の起源」に関するページは両観音折りになっており、左右に開くとそこは机上から種の起源の世界。ダイナミックな演出に、まるでダーウィンの頭の中を覗いているかのよう。自伝や手紙を元にした綿密な取材により、ダーウィンの生まれ育ってきた背景、航海の記録、それまで足掛かりとなった人々の研究の歴史など、ダーウィンの中で育ち培われた自然科学への愛が描きあげられた傑作です。お読みになる過程により、きっとその時々に発見があることでしょう。贈りものにもおすすめです。(原口)