20世紀の食と農の歴史・思想を研究する藤原辰史さんを迎え、本書でSUREの面々が聞くのは「これからの日本でどう生きるか」。これからの日本の未来、我々はどう経験しどう生きることになるのか。そんな大きなテーマに対し、『ナチスのキッチン』などの著書もある藤原さんが、ヨーロッパの歴史と農と食、さらには生い立ちを含む実地の経験などもからめて講義という形で語り下ろします。食と環境、社会と歴史、ヴァーチャルリアリティ、女性たち…。多岐にわたる話題を一本の糸をたぐるように丁寧に正確に。その思考の過程や検証は、会話形式だからこそすんなりと読者の心にも入ってきます。過去を知り現在を探り未来を望む。柔軟な思考と真摯な言葉。それらが層をなして響き、様々な示唆と発見に富んだ、そして本当に面白い一冊です。