企業文化PR誌の先駆けとして、1937年に資生堂より刊行された「花椿」
時代とともにその色は変化してきましたが、絶えず根底にあるのは女性のメディアだということ。
本書は1988年から2001年まで、編集者として花椿を作り支えてきた林央子さんによる、文化、編集、交遊の記録です。訪問したクリエイターのアトリエ、ポートレートなど、自身によるスナップも多数掲載し、90年代当時を振り返りながら女性のメディアしての役割を担い、そのアイデンティティについて語った1冊。
当時の名物編集長・平山景子さん、アートディクター・仲條正義さんらに教わる編集のいろはは、実体験を元に書かれ、誰も目にできない裏舞台の貴重な記憶。また、マイク・ミルズ、スーザン・チャンチオロなど文字情報を隅々まで読み、シンパシーの蓄積により出会うクリエイターとの交遊は魅力的な展開。
(原口)