「あいたくて」をはじめとする工藤直子さんの詩に佐野洋子さんが絵を添えた、小さな贈りもののような詩集。「じぶんにあう」「ひとにあう」「風景にあう」「猫にあう」「そして」の五つの章からなり、工藤直子さんが選ばれた詩がそれぞれまとめられています。「痛い」や「なみだ」のように、ひりひりとするような詩もあれば、「!(びっくり)」や「生きちゃったイ」などしなやかに心がひらいていくような詩も。佐野洋子さんの絵が、寄り添いすぎることのないちょうど良い距離感で挿し込まれています。
「あいたくて」は名詩ですから、過去に一度出会った方も、すでに何遍も読まれた方も多いかもしれません。でしたら今度はぜひ、声に出して読んでみるのもおすすめです。
工藤直子さんは、あとがき「あなたに」でこう書かれています。
この本を、まとめているあいだ、しきりに思っていました。
(なんだろう? なんだろう? なにに「あいたい」のだろう)と。
(中略)
迷子の気分というのは、むかしも今もこれからも、ずうっとあるんじゃないかなあ。
生まれてきたってことは、迷子になったってことかなあ。
この言葉にどうぞ安心して、ご自身の言葉で読んでみてくださいね。