もてなしじょうずなひとは、家にあるもののなかで、いちばん美味しいものをお客さんにすすめます。たとえ、べつの機会の為にとっておいたものであっても。
ー イーヨーは、とてもとてもアザミのもじゃもじゃはえている場所へ、みんなを案内してゆくと、前足をそっちのほうへふって見せました。
「わしの誕生日にと、とっといた畑じゃが……けっきょく、誕生日とは、なんじゃい? きょう、ここにきたと思えば、あすはもうゆく。おたべなさいや、トラ―さん。」
P44.「おもてなし」より
のんびりとした優しさに溢れたとってもチャーミングな本書。不屈の名作『クマのプーさん』より、抜き出した名場面を元に百町森流のお作法と心配りについて、事細かにまとめられております。
第一部のエチケットにまつわる実践的?テクニック、第二部のやや辛辣で骨太な「たしなみ」について、大人になるにつれて読み方に変化がある様です。
お出かけの時はポケットに、お招きの際は冷蔵庫の中にでも、そっと忍ばせておきたい1冊です。(原口)