ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれはおそらくしあわせでした
白砂をひかりのような舟がゆき なんてしずかな私だろうか
ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒
えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい
「短歌というみじかい詩を書いています。」
彗星のように短歌界にあらわれ、2009年、26歳の若さで惜しまれながら亡くなった佐賀の天才的歌人・笹井宏之。
圧倒的な言葉のセンス、胸が苦しくなるほどの優しさ、霧の中や暗闇にいても感じるであろう澄んだ透明が特徴の歌の数々。
没後10年の2019年に、代表歌集である『えーえんとくちから』より、新たに詩やエッセイの未発表原稿が合わさり、ちくま文庫に収録されました。
間違いなく現代短歌史に名を残す歌人の一人です。
「一首一首の歌が、一つ一つの言葉が、未来の希望に繋がる鍵の形をしている」
-穂村弘さんの解説より