本書は、アイルランドの写真家 Mark Nixon(マーク・ニクソン)による「愛されすぎたぬいぐるみたち」のポートレート集。持ち主たちの愛を一身に受け、年を経てくたくたになって、ときに腕や足を失い、手当や手術を受け、それでも健気に微笑むぬいぐるみたち60体以上の姿。それぞれの写真には、名前と年齢、持ち主、そして持ち主がそれぞれに語る「ぬいぐるみたち」との出会い、"若かった"頃の思い出、それぞれに傷を負った経緯などが付されています。恐怖や希望を聞かされても、涙と鼻水を吸っても、何も要求せず、見返りを求めず、秘密は守り、ただそばにいて、幼い頃を慰めてくれた親しき友。持ち主たちの扱い方の個性や物質ゆえの経年変化を視覚的に感じながら、同時にエピソードがもたらす彼らの特別な関係を知る時、「ぬいぐるみ」というありふれていながら不可思議な存在への愛着と畏怖はますます深まることでしょう。ギフトブックにもぜひ。(涌上)