常軌を逸する細かさでの書き込みと作り込みが凄まじい旅の自主制作本「タミオー日記」の作者が描く、旅する漫画本。こちらは趣もガラっと変わり親しみやすい絵とのほほんとした空気が特徴です。おそるおそるでかけたインドでアジアの旅にはまり、それからというもの、アジア各国や南米など独自の時間軸で生きている人々の間にまざって各国を放浪。その様子がふわっと描かれた内容はどこかコミカルな夢のようで、でも臨場感いっぱい。通りすがりに女性から謎の平手打ちをくらい、冷房の効きすぎるバスで往生し、ドリアンの洗礼を受け、値段交渉の食い違いで敗北し…。そのどれもが豊かで確かな経験を元に描かれたリアルな世界。フラっと旅に出るというわけにもいかない昨今、本作で日常との落差の激しいトリップをしばし楽しんではいかがでしょうか。表現は変わってもタミオーさんらしい目線の中で、旅の面白さの原点に出会えます。