ここから書くことは、思いもかけず写真という道に迷い込んでしまい、いつ溺れてもおかしくない状態で今ももがき続けている僕の一〇年間の出来事だ。―プロローグ
京都在住の写真家・吉田亮人。
小学校の先生を辞め、写真家として活動するようになってから十年。おおきな波を呼ぶ物語も、静けさに身を寄せる物語も、そのあいだに起きたさまざまな出会いやエピソードを数年という歳月をかけて書いた、尽力の一冊。「しゃにむに」には、あれこれ考えずに没頭するという意味がありますが、吉田さんはその瞬間、一歩ずつ立ち止まって考える方だと思います。立ち止まるものだけが切り取る瞬間や、表情があるのだとしたら。
バングラデシュの皮革工場、レンガ工場を撮影した私家版写真集や、ある日急に失踪した従兄弟を撮った『The Absence of Two』。その作品たちで吉田さんが捉えた人々の顔は、身体は、血が通っていて、それゆえに生命の腥さがある。どんなひとがあの写真を撮っているのか、関心を抱いたあなたに、ぜひこの一冊を。腑に落ちるはずです。装丁は、幾度とタッグを組んできた、矢萩多聞さんです。
商品情報 |
著者 | 吉田亮人 |
出版社 | 亜紀書房 |
サイズ | 132mm × 187mm |
その他 | 301p/ソフトカバー |