悲しきデーモン、追放の精霊が罪深き大地の上を飛ぶ

19世紀ロシアを代表する二人のミハイル―詩人ミハイル・レールモントフと画家ミハイル・ヴルーベリによる詩画集が、出版社エクリより刊行されました。本書『デーモン』は、決闘により26歳で亡くなったレールモントフが、12年にわたり改稿を重ねた物語詩です。「悪しき魂」であるがゆえに、愛の対象と決して結ばれることのできないデーモンの悲劇は、読む者の心に痛切に響きます。この詩に魅了された同時代の画家ヴルーベリもまた、生涯をかけて「デーモン」の主題に挑みました。『座るデーモン』『疾駆する騎士』『タマーラの踊り』『倒されたデーモン』など、代表的な6作品を本書ではカラーで収載しています。訳者は、『アルセーニイ・タルコフスキー詩集　白い、白い日』およびアンドレイ・タルコフスキー『ホフマニアーナ』（いずれもエクリ刊）を手がけた前田和泉。不可能な愛に魅せられ続けた詩人と画家の共作が、美しい詩画集というかたちで結実した一冊。美しい装丁は、須山悠里によるものです。