枯れることのない詩心、そして童心。詩人・片山令子の遺作ともなった本書には、湧き出る水のように静かに流れ出す言葉、瑞々しい視点、それらを礎とする様々な随筆がおさめられています。表題ともなった冒頭の「惑星」をはじめ、詩人としての巧みな言葉づかいの中に、真実と幻をみつめる澄んだ視線が織り込まれ、読む者の心を静かに豊かに包み込む。淡い色彩のなかに芯のあるひとつのかたちを読者それぞれが見出すことができる。そんな詩人の魂に触れつつ、すぐれた散文を読む純粋なよろこびも共にもたらされます。一人の女性が幼い頃から現在までの自身の意識を一本のリボンに集めたかのような、愛らしく透明感に満ちた一冊。どうぞゆっくりと一篇一篇を味わってください。夫で絵本作家の片山健による装丁も潔く美しい。