「シャワーを浴びながら、日記はやはりいい、と思いながら、僕の日記本はどう読まれるのだろうか、ということを思った、特に日々に何があるわけでもないし、鋭かったり面白かったりする考えが開陳されるわけでもない、ただひたすら日々が続くだけだ、それは植本一子の日記のような魅力や強さは持ち得ないだろう、しかしそれではないなにか他の魅力が、強さが、あればいいが、どうだろうか、圧倒的なボリュームこそがそれだろうか、積み重ねられた1000ページほどになるだろうその長さこそが、つまりうまく積み上げられないライフを積み上げた分厚さが、と思うが、どうだろうか、と考えていた。」(本書 p.73より)
静けさのなかで時間を気にすることなく読書に耽ることのできる環境を提供する、東京・渋谷区初台にある"本の読める店"「fuzkue(フヅクエ)」店主、阿久津隆さんによる『読書の日記』第2弾。
ピンチョン、ドノソ、武田百合子、滝口悠生、植本一子、バルガス・ジョサ、保坂和志、柴崎友香、アメリア・グレイ、多和田葉子、etc…。食べるように読んだ2017年10月1日から2018年5月9日までの一年足らずの日々は、文庫サイズ、672ページ、ハードカバーという圧倒的な物質感をまとった本としてまとめられました。読み、書き、作り、店を開け、映画と野球を愛好する、始まりも終わりもない、続きの日々。饒舌な文体で書かれた膨大な記録を、朗らかさと静けさで包み込むような箕輪真紀子さんの装画も印象的です。手に持つことのできる本の豊かさと、読むことの歓びを知るすべての人に。(涌上)
商品情報 |
著者 | 阿久津隆 |
編集 | 内沼晋太郎 |
装丁 | 戸塚泰雄(nu) |
装画 | 箕輪真紀子 |
発行 | NUMABOOKS |
その他 | 文庫版 / 672ページ / ハードカバー |