“いいひとなんだろう 蝶が群れている”
“きょうの夜空のがりがりしてるとこがいいね”
“電話きてゆるくやさしくいとおしくねむくさびしくちょっとだけすごい”
“しぬまで部屋のすみっこにある「おはようございます」”
“追われても追われてもアップルパイを焼く”
めぐる季節の折々におとずれる感情、連想ゲームのように引き出されるいつかの記憶、流れては去っていく断片的なエピソード、言葉あそびと書きそびれた手紙のような日々。
川柳作家・詩人の柳本々々(やぎもと・もともと)さんとイラストレーターの安福望さんによる新しい本は、2018年5月から1年間、ウェブ連載上で毎日更新した句と挿絵から103の組み合わせを厳選・再編集したもの。日々に詠まれた句と文は、幻想的で愛らしく不条理で時に美味しそうな夢にも似たイラストを生み、ページを繰るごとにこの二人の作家ならではのオリジナリティにあふれた世界が展開します。カフカや百間、ロメールやレム、村上春樹などさり気なく触れられている固有名も新たな作品へと読者を誘います。どこにも収まらない夜の時間を真空パックしたような、シュールでドリーミーでエモーショナルな一冊。手触りのよいチェック柄のカバー、コデックス装を採用した造本など本書の世界観をかたちあるものに落とし込んだデザインも素晴らしい。(涌上)
商品情報 |
句と文 | 柳本々々 |
絵 | 安福 望 |
発行 | 春陽堂書店 |
サイズ | 四六版 |
その他 | 152P / ソフトカバー / コデックス装 |