アムステルダムを拠点とする写真家・Mark van den Brink(マーク・バン・デン・ブリンク)。「目立たない盗撮師」として何年もの間旅をし、極めて小型なミノックスのカメラで撮影を続けてきました。本書は、小型カメラを双眼鏡や望遠鏡に取り付ける手法を主としていた彼が初めて取り組んだ静物画をおさめた写真集。ひとつのスツールに乗った石と、背景として吊り下げたキャンバス地の防水シートからはじまり、対象とディスプレイの組み合わせを変えながら撮影した写真群をおさめます。フラッシュや照明は一切使用せず、日光のみで物を際立たせることで生まれる、白とも黒とも言い難い色合い。奇妙なオブジェのバランス、無機質な絵画にも思える輪郭のぼけ、時折自然に発生する不安定な被写界深度。技術的な欠陥を美として捉えることで写真という媒体の持つ魅力を最大限に表現した至高の一冊。(韓)