アリスという少女の存在、そして瀧口修造の詩に導かれ、言葉の国の美しき住人・矢川澄子が戯れのままにものした不思議な詩集。「アリスとテレスとプラトオと いずれをあやめかかきつばた」…童子の心を持ったまま、ふわふわと漂うような、深みに沈み込むような、戯れ唄の数々。開いてみれば特にあのアリスとは関わりのない詩も多いのですが、どこかはやはりあの不思議の国にもつながっている。矢川澄子ならではの言語の感性の欠片に触れられる、愛らしい一冊です。函表紙写真は沢渡朔の写真集より。こちらは75年刊行の第一版、函装となります。本体と函それぞれに黄変、細かなシミあり。函の背に一部小さな破れあり。そのほか経年並のイタミがところどころ見られますが、読む分には問題ございません。古書としての劣化については事前にどうぞご了承くださいませ。