「本は暗いおもちゃである」という、工作舎のコンセプトである稲垣足穂の言葉を、デザイン杉浦康平、編集構成松岡正剛のコンビによってそのまま単行本という形で表現したのが、この『人間人形時代』です。本の中央に穴がくり抜かれた、足穂宇宙の広がりを予感させる漆黒のカバー全面に端正な明朝体が配されています。内容も中心の穴を避けながらの文字組、図版を自在に組み合わせたレイアウトと素晴らしい。この本そのもの自体が内容を表しており、足穂の世界観の再現です。1975年の初版から版を重ね続けている超ロングセラー。
著者:稲垣足穂 / 出版社:工作舎 / 206mm × 137mm / 309P / ソフトカバー