ホラー、ミステリー、ファンタジーなど幅広いジャンルに渡って人間の深淵に触れる数々の作品をものし、その多作さと独自の作風でも多くのファンを持つ作家ジョイス・キャロル・オーツが2011年、73歳の時に発表した短篇集。本書もその物語の力が存分に味わえる歯ごたえのある作品ばかりです。特に、少女が少女を誘拐するという、表題作「とうもろこしの乙女」に見られる悪魔的なモチーフの妖しさと恐ろしさにはある種の魅力が宿り、少女という存在の複雑さと残酷さを教えてくれるこの一篇だけでも本書を当コーナーで紹介する所以となっています。その他にも様々に味わい甲斐のある粒揃いの作品集。オーツの世界にすんなりと入ることの出来る人もおそるおそるな人も、ぜひこの可憐な一冊を。
商品情報 |
著者 | ジョイス・キャロル・オーツ |
翻訳 | 栩木玲子 |
発行 | 河出書房新社 |
その他 | 文庫版 / 468P / ソフトカバー |