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本の傍にいるときが
いちばんわたしらしくいられる時間で、
それが働く上では何より大切なことだと、
あとになってから気がついた。
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子どものころに過ごした神戸の街。大学時代の早稲田周辺。これまでに出会ってきた本、そして猫たち。
東京・荻窪の本屋「Title」店主・辻山良雄さんがこれまでさまざまな媒体に寄稿した文章に、新たな書き下ろしを加えて編まれた随筆集が届きました。
幼いころの記憶から、本の仕事との出会い、これまで暮らしてきた街や家族の一員となった猫のことまで。辻山さん自身が「わたしという一本の木が育つまでのこと」と語るように、ひとつひとつの記憶を静かに辿っていきます。
何気なく過ぎてきた時間も、振り返ってみれば、今の自分へとつながっている。忘れていた風景や、かつて読んだ本、そばにいた誰か。文章を読み進めるうちに、自分のなかにも眠っていた小さな記憶が、ふいに呼び起こされるようです。
紙版画作家・坂本千明さんによる描き下ろし挿画もたっぷり収録。静かな文章のあいだに現れる猫や街の風景が、辻山さんの日々とやわらかく響き合います。
そして、本を包むのはサックスブルーの表紙。辻山さんが営むTitleの看板にも使われている、思い入れのある色です。発行は、辻山さんとも古くから付き合いのあるという信陽堂編集室より。この版元らしい、小ぶりなサイズも相まって長く大切にしたくなる、軽やかで美しい佇まいです。
本を読むこと。猫と暮らすこと。街を歩くこと。自分をつくってきたものをひとつずつ拾い集めるように綴られた、静かな余韻の残る随筆集です。(岡本)
著者:辻山良雄
装画:坂本千明
発行:信陽堂編集室
サイズ:四六変形判
その他:208p / 上製