モームやサリンジャーなどの古典からYA、ノンフィクションまで、600冊以上におよぶ幅広いジャンルの翻訳を手掛けてきた金原瑞人さんが、私たちにあまり馴染みのない、けれど英米文学でよく目にする言葉を集めた一冊が届きました。
「オリーブ色、ブロンズ色の肌」、「赤毛、砂色、亜麻色、栗色の髪」、「プリンとプディング」、はたまた「マントルピース」や「フランス窓」…どれもなんとなく聞いたことはあるけれど、「実際それってどんなもの?」となるイメージの曖昧な言葉を、著者自身の体験や言葉のニュアンス、文学作品からの引用などを交えつつ、エッセイ仕立てで紐解いていきます。
物語上、さほど重要でなければさらりと通り過ぎていってしまう言葉たち。その背景に垣間見えるのは、ここではない土地に暮らす人々の文化や歴史、風土。海の向こうが今よりもずっと遠い存在だった時代から身近になるにつれ、言葉の輪郭とともに翻訳も変化してきました。そんな、まさに「言葉は生きもの」と唸るエピソードも盛りだくさん。言葉を訳すこと、物語を通して異国に触れることの奥深さを軽やかな筆致で綴った、海外文学の楽しみがまたひとつ膨らむような一冊です。(岡本)
著者:金原瑞人
発行:左右社
サイズ:127mm × 188mm(四六判)
その他:240p / ソフトカバー