オンライン書店「コトゴトブックス」の店主でもあり、長年に渡り本にまつわる文章を綴ってきた木村綾子さん。雑誌、新聞、ウエブなど様々な媒体に寄稿した随筆のうちの24編に、書き下ろしの新作4編を加えた全28編が収録されています。 祖父が死んだ夜のことを語ってくれた祖母のこと。生まれてはじめてひとりきりで大きな街まで行ったときのこと。「最終的にはどんな人になりたいの?」と聞かれて答えられなかったときのこと。幼少期からの記憶を丁寧に掘り起こすように綴られたエピソードと共に、本が一冊ずつ取り上げられています。本に救われ、気づかされ、生かされる。真っ向から本と向き合ってきた著者の正直な言葉に、静かに胸を打たれます。
装画は絵本作家・酒井駒子さんによる描き下ろし。著者が幼少期に大切な本と出合ったその瞬間が美しく繊細な筆致で表現されています。
「本をひらけばまたそこに私を動かす言葉がある」
これは、一冊の本が呼び起こす記憶と、続いていく日々を巡る28の物語。
【本書に登場する書籍(一部抜粋)】
『ピノッキオ』佐藤春夫 編/『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ/『さきちゃんたちの夜』よしもとばなな/『彼女たちの場合は』江國香織/『人間失格』太宰治/『ここは退屈迎えに来て』山内マリコ/『檸檬』梶井基次郎/『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン/『東京百景』又吉直樹/『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子/『春のお辞儀』長嶋有/『ゆうべの食卓』角田光代/『雨滴は続く』西村賢太/『世界99』村田沙耶香/『ショートケーキは背中から』平野紗季子/『ことばの食卓』武田百合子/『くるぶし』町田康
著者:木村綾子
装画:酒井駒子
出版:ミルブックス
サイズ:四六判
その他:192P / ソフトカバー