当店で取り扱っている本でもたびたびお名前を目にする、デザイン事務所tento主宰・グラフィックデザイナーの漆原悠一さん。今回はデザインではなく、エッセイを集めた一冊が届きました。
東京・noie extentでの初めての個展(2025年8月)に合わせて刊行された本著。“「本をつくる」ことで、仕事を含む生活そのものに向き合ってみようとおもった。”という漆原さんのエッセイでは、他愛もない日々の徒然23篇が書き留められています。いつか見たきれいな夕焼け、天井裏のねずみ、引越しの日の息子の涙、仕事のやりがいや向き合い方、忽然と姿を消した表札、亡くなった父のこと…表紙のコラージュ作品のように、人ぞれぞれ、日々のいろんなエピソードがつながって今の自分があって、これからもいろんな日々の物語が積み重なっていくんだな。当たり前のことだけど、自分のことと重ね合わせて、ほんのちょっと日々を慈しみたくなりました。
表紙のざらりとした質感、本の上はカットせず紙の凸凹がそのままに、どこか古本のような懐かしい佇まいもエッセイの雰囲気にぴったりな造本です。(上田)
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ぼくにとって、デザインは生活の基盤を支える大切な仕事だが、生活の一部である。
デザインが生活のすべてではなく、自然と生活のなかに溶け込んでいるようなイメージだ。
仕事へのこだわりが生活を圧迫することのないように。 (本文より)
東京のnoie extentというギャラリーで初の個展をやることになった。
ふつうデザイナーの展示といえば、成果物や取り組みをデザインの意図とあわせて展示する
それがほとんどのように思うけれど、「本をつくる」ことで、仕事を含む生活そのものに向き合ってみようとおもった。
父のこと、家族のこと、学生時代のこと、友人のこと、引っ越しのこと、仕事のこと。……etc.
デザインを仕事にする、忙しくも自由な日々を、ご笑覧いただけたらうれしいです。全23篇。
もくじ:表札がない/ミルクセーキ/手のひら/似顔絵/シャチホコ/ドリーム/古本屋/砂が出た/念を送る/アコーディオン/市民プール/フット帽/さよならが言えない/ねずみさん/引っ越しのまえに/ばいばい、またね/ある一日/丸坊主/ぼんやりと考える/お忙しいのにすみません/デザインの現場/場がつくられる/あとがきにかえて
漆原悠一(うるしはら・ゆういち)
1979年大阪市天王寺区生まれ。2002年京都精華大学美術学部デザイン学科卒業。2011年に東京・西荻窪の自宅にてデザイン事務所tentoを設立。その後、代官山、三鷹へ移転。現在は京都市左京区に事務所を構える。グラフィックデザインを生業としている。
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著・装丁:漆原悠一
サイズ:W118mm × H172mm / 四六判変形
発行:tento
その他:100P / ソフトカバー / 天アンカット