単行本刊行から14年。復刊が待ち望まれていた諏訪哲史の幻想小説集『領土』が、〈ちくま文庫〉より文庫化されました。全10編からなる本作は、第1編「シャトー・ドゥ・ノワゼにて」から始まり、物語の進行とともに小説の形式が徐々に変容し、第10編「先カンブリア」では、言葉が結晶のように凝縮され、やがて詩のような形へと至ります。
現実と夢、記憶と幻視、かつての故郷と異国が交錯するなか、読者は鮮烈で忘れがたい言葉の迷宮へと誘われることでしょう。読む者の感覚を静かに揺さぶる幻惑的な10の物語を、山下陽子によるコラージュ作品とともにお楽しみください。解説は富岡幸一郎と山尾悠子。白の静謐さをまとった美しいカバーは、佐野裕哉によるデザインです。
著者:諏訪哲史
装画・挿画:山下陽子 カバーデザイン:佐野裕哉
発行:筑摩書房
サイズ:115mm x 148mm
その他:376p